船乗りが恋しいもの

先月、半月ほど船内生活をした。普通は少なくとも3ヶ月は乗り続けるのだから、これで全部分かったつもりには到底なれないわけではあるが、長い船上生活で一番つらいのは家族に会えないことだそうだ。子供がいたらなおさらだろう。乗船のため日本各地の港に向かう新幹線の中で飲むビールのまずさ、下船前日の興奮、帰りの新幹線で飲むビールのうまさ。そんな話を聞いた。

一方、私が恋しくなったのは、大学内にある蕎麦屋の蕎麦と食堂のタンメン、近所の喫茶店で飲む珈琲の3つ。下船後、大学で食べたそばもタンメンもいつも通りの味だった。喫茶店は混んでたので、珈琲は来週まで待つことになった。そして今や、船内に響く発電機とエンジンの音が懐かしく、恋しいから不思議なものだ。