一息入れて。


夕方、大体仕事は終わってもう後は帰るだけ。バーボンストリートから陽気なジャズが聴こえてくる。ふらふらと吸い込まれるように入店し、ちょっと飲み飽きてきた地ビールを注文し、Jamil Sharifという店の看板スターの歌声に耳を傾ける。時折、ニコッと笑顔を見せる。肌の黒いおっさんの笑顔というのは、どうしてこうもキュートなのだろうか。

タバコが吸いたくなる瞬間がある。例えば、週末に一人買い物をしていたら突然時雨れてきたため、店の軒先に駆け込み、ふぅっと一息入れて鞄の水滴をはたき、顔を上げたら相合傘のカップルが通り過ぎる、のような状況。

全然状況は違うが、どうもタバコが吸いたくなった。自販機で5ドルもするひたすら軽いのを買って、吸いながら聴いてみる。そういや、6年ぶりだな。うーむ。イマイチだ。もうちょっと寂しさと孤独感があると気分も盛り上がるかも。「へい、Jamil、もうちょっとスロウな曲を演ってくれよ」なんてリクエストできたらかっこいいのだけど。