雪とカメラ
目が覚めると窓の外には久しぶりに雪景色。子供らは元気に雪だるまなど拵え、いかにも楽しそうである。おお風流だ、などと思い和歌でも詠もうとすれど何も出てこない。拗ねた私がするめで一杯やりながら、ぼんやりと外を眺めていると、ちょっと写真が撮りたくなりカメラのことを思い出した。
最近カメラ業界は大きなニュースが続いた。ニコンが銀塩一眼レフ事業の大幅縮小を決めたり、コニカミノルタがデジカメ事業をソニーに譲渡したりと。特にフィルムカメラの衰退は急速に進んでいる。
私の持っているフィルムカメラはオリンパスのPEN-FT。40年前の製品だが、こんなに粋なデザインのカメラはそうそうないと思って中古で購入した。
性能だけを比較したら今のカメラには無論敵わない。撮った写真をすぐ見ることもできない。フィルムの装填もしなくてはならない。じゃあなんで使うのかって。徒然草にはこんな言葉があります。
よき細工は、少しにぶき刀を使ふという。
腕のいい細工師は、利き過ぎる腕を、切れ味の少し悪い小刀を用いることで抑えている。性能が良ければそれでいいというわけではない。道具の性能と人間の技量が一体となって、よい作品となるのだ。
と、ここまで書いて、自分の写真の技量からすると、やはり手ブレとか補正してくれた方が嬉しいじゃん、とも思うわけだが、現像に出してからプリントされてくるまでの待つ時間もまたよろし。出来がよかったときは大変いい気分になれる。出来が悪かったときは、ミックスナッツで一杯やって気分を良くすればいいしね。