書店の怪

日曜日の昼食として最も相応しいのは、これはもう誰が何と言おうと蕎麦なのであって、駅前の長寿庵で天ぷら蕎麦を誂えてもらおうと、心地良い陽気に誘われふらりふらりと駅へと向かった。しかし、朝飯のカレーが胃袋にまだ残っている感じがしたので、暫く時間を潰そうと書店に入り、石田純一のエッセイ、ホリエモンの仕事術、など近頃話題沸騰の書籍に目を通していると一人の若者が、こともあろうに書店の中で甲高い声で電話を始めるのであった。全くもって言語道断、理解不能。嗚呼。しかも電話の内容をよくよく聞いてみると、「俺は蓮根の惣菜は嫌いだ」などという恐ろしくどうでもいい話なのである。何故そんな話を書店で長々とせねばならんのだと、この理解し難い事態に対する怒りが頂点に達しようとしたとき、店長がやって来て、「ちょっと、すいません」と丁重にジェスチャーで外へ出るように指示。素直に出て行く若者。さすが店長。わきまえていらっしゃる。分かってらっしゃる。

というわけで、店長に敬意を表し本を購入しようとレジへ。カバーをかけてもらっている間、ちらっとレジの横に目を向けると、大量のボールペンが売られていて、ああ、きっと本に書き込む人が多いから置いているんだな、と納得し、さらにその横に目を向けると、なんとそこにはモンキースパナ。本とモンキースパナ。しおりにするには太過ぎる。挟んで、本を持ち運べというのか。店長、なぜなんだ。私にはまたも理解不能。嗚呼。

武士道 (岩波文庫 青118-1)

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祖国とは国語 (新潮文庫)

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