相談室

えびフィレオの宣伝に出ている女性が、蛯原某というモデルだと知っているくらい最先端の流行に敏感な私であるが、不可解なことに毎年インフルエンザの流行には乗り遅れる。そしてこの流行の時期は、あちこちの大学で卒業論文提出という儀式が行なわれており、特に提出1週間前などは、研究室総動員で論文の指導、相談といった行事が組まれ、大変慌しくなり、猫の手も借りたい状態なのである。


しかしこれはどういった謀略・奸計だろうか。最も頼りになる研究室の助手が私よりも流行に敏感ということもありインフルエンザにかかり、この大事な1週間家に引きこもります。では。後よろしく。ゴホゴホ。ぐしゅぐしゅ。といった状況になってしまったのである。


数人に今年の卒業を諦めてもらおう。うん。それでいいや、と、その旨を上司に伝えるも、全力を尽くせ、と釘を刺され、他の学生より多少歳を食っている学生の私は覚悟を決め、相談、指導等をやり始めることにした。


後輩の持ってくる相談事は大体以下のようなことである。
考察の章は何を書けばいいんですか、私の研究の目的は何ですか、論文を書ける気がしません、3日風呂に入ってません、一体どうしろっていうんですか、参考文献が1つしかありません、家庭教師のバイトに行きたいです、ズボンにヨーグルトをこぼしました、ローソンのおでんには味噌だれとからしのどちらが合いますか、どうすれば熊田曜子を彼女にできますか、、、、、


もう正直本当に面倒臭くて、自分で考えろと言いたくて仕方ないのだけれど、初めての論文ということで不安な気持ちも理解できるので、私は次のように答えるのであった。
「考察は自分の手法の有効性とその範囲について議論して云々」、「結論として言えることを目的に書けばいい云々」「私はおでんには何もつけない云々」、「熊田曜子は鍋パーティが好きなようで云々」、、、、、、