誕生日狂想曲

我が研究室の秘書さんの誕生日ということで、ここは一つ盛大にお祝いしようではないかと、福岡出身で男前の後輩I君が呼びかけたのであった。


私が、「大人の女性には、どういった類のものが喜ばれるのかね」と尋ねると、I君は、「kakutさん、ロゼのシャンパンを買ってはいかがですか」と言うのであった。さすが、若いのに物知りのI君であるが、いささか説明不足である。まず、ロゼがよく分からない。さらに恥ずかしいことに、シャンパンとワインの違いもよく分からない。と、告げると半ば呆れられながら、「シャンパンとはスパークリングワインで、特にシャンパーニュ地方で作られたもののことですよ」と教えてくれた。ああ、そうなのか。あの、F1の表彰台でアロンソとかライコネンとかがかけあってるやつか。久米島の久米仙と久米仙の違いなら説明できるんだけどな。まぁいいや。合点がいった。私がシャンパンについて理解したのを確認すると、I君は、
「私は明日、1日中就職活動がありまして誕生会に参加できません。後はよろしくお願いします。では。」などと言ってどこかへ行ってしまった。


そういうわけで、誕生日当日、私は高島屋の地下1階へ、ロゼとやらを求めてのこのことやってきたのだった。葡萄の匂いをくんくんしながら地下1階をのこのこしていると、食料品街の一角に沢山のビンが並べられているところを発見した。きっと、あそこにロゼはあると確信して近づいていったが、それは全部酢だった。なんでってこんなに酢があるのか。100種類以上の酢が所狭しと並べられているのであった。中にはブドウ酢なんていうのもあって、「ブドウ酒と間違えて、ブドウ酢買っちゃいました。てへっ。」なんてことをやったら、明日からゴキブリ以下の扱いを受けるだろうなぁ、なんてことを思い巡らせながら、すごすごと地下1階を諦めて、地下2階へとのこのこと向かっていった。


地下2階をのこのこしていると、いとも簡単にワインショップが見つかった。ロゼ。ロゼ。ロゼ。ロゼはどこだと探していると、いかにもソムリエっぽいお兄さんが現れて、「何かお探しですか」と訊いてくるので、「ロゼのシャンパンとやらを探しております」と告げると、「こちらフランスの有名レストラン、タイユヴァンでも出されているシャンパンで、苦味の中にほんのり甘みなども感じられて云々、、、」と言うので、きっといいものに違いないのでこれを購入することとした。


さて、誕生日と言えばケーキ。ケーキも買わねばならない。ケーキ。ケーキ。と、呟きながら、アラカンパーニュという店に辿り着いた。
ディスプレイされているケーキはどれもこれも美味しそうなのである。その中で一番美味しそうなものを選んで、店員を呼んで「これワンホール買えますかね?」と無理を承知で訊いてみた。
そうすると「ちょっと難しいですねー。今、パティシエを呼んでまいります」と言って、かわいいパティシエを連れてきたのだった。
かわいいパティシエは、困惑の表情を浮かべつつ、「前日までに予約していただけると大丈夫なのですが。。」と申し訳なさそうに言うのであった。いや、あの、突然ワンホール頼む私が悪いんです、ええ、私がバカだったわけで、だから、そんなにね、あの、申し訳なさそうにしないで、というか、I君、ケーキくらい予約してくれもよかったのではないか。
私は大きなホールケーキは諦めて、最後の1個の小さいホールケーキと、美味しそうなタルトを5個くらい選ぶことにした。こんなにかわいいパティシエを困惑させてしまったなんて、私も罪な男だ。


左手にシャンパン(ロゼとやら)。右手にケーキ。背中にThinkPad。一体俺は何者だ。と、問いかけながらバスへ乗り込み研究室へと向かった。


あ、もう時間がない。。。パーティはつつがなく終わり、ロゼもケーキも大変美味しゅうございまして、秘書さんも大変喜んでくれました。アラカンパーニュの皆様、ご迷惑おかけしました。とても美味しかったです。

なんとなく宣伝。
http://www.alacampagne.jp/top.html

さて、焼肉へ行かねば。