友人のこと

彼は頭脳明晰で、誰よりも頭の回転が速かったが、決してそれを鼻にかけることなく、穏やかで優しい性格で、周囲の仲間を大切にし、かと言って群れ過ぎず、自分の生きる道を独自で切り開いていく男だった。当然のように、そんな彼には多くの人が惹きつけられた。無論、私もその一人だった。

あなたとM君と私の3人で行なったプロジェクトは、学部生時代の一番の良い思い出です。毎週のように大学のラウンジで一晩中議論を重ねましたね。夜中にお腹が空いて、私がストックしていた一杯のカップヌードルを3人で分けあって食べたことを覚えていますか?そしてプロジェクト終了後に担当の先生に内容を絶賛されて大喜びしたことを。

あなたは大学を卒業後も、大学に残っている私の所へ、時々近況を伝えに来てくれました。近くの居酒屋で、私の研究の話を熱心に聴いてくれました。多忙にも関わらず、私の主催した飲み会には短い時間でも顔を出してくれました。他人には相談しにくい話も、私には話してくれました。あなたは私を信頼してくれていました。私が本当に信頼を受けるに値する人間かどうか自信はありませんが、あなたに信頼されているという事実は、私を常に勇気付けてくれました。

そして突然、あなたのことを過去形で語らなくてはいけない日がやってきました。お見舞いに行ったときに、意識も無くただベッドに横たわっているあなたを見て覚悟はできていました。それでも、私には少し荷が重過ぎたようで、情けないことにそれ以来、厚い雲に覆われたかのように、心がどんよりと沈んでいます。けれども、今、きらきらと眩しく輝いていたあなたを思い出し、ここに記すことで、雲の隙間から光が差し込んでくるような気がします。あなたの輝きは、私の心の中で一生失われることなく、歩き出す力を与えてくれることでしょう。だから最後に、今までの分と、これからの分のお礼を言っておきます。あなたのような素晴らしい友人を持てたことは、喜びであり、幸運であり、誇りでした。
本当に有難う。


天国の友へ 駄文ですまない。しばらくかかるけど、また会いましょう。