告白

河内十人斬り、という実際に起きた事件をモチーフにした小説。事件の犯人である城戸熊太郎は、家の百姓仕事も手伝わず、酒に溺れ、博打で身を持ち崩し、挙句の果てに人を殺してしまうような男であるが、果たして我々とは全くその性質を異にする人間かというとそうでもなくて、読み進めていくうちにこの人物に共感を覚えてしまう。

676ページの大作。非常に重たいテーマ。と、聞いただけで手が出ない人もいるかもしれないけれど、こんなものを時に笑わせながら読ませてしまうのが町田康の巧さであって、それは町田康にしかできない芸当だろう。読了して1ヶ月以上たった今でも時々、熊太郎のことを思い出す。

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